抜群におもしろい本でした。
なぜ炭水化物ダイエットは効果があるのか、人は食べすぎるのか、食に関して1つ筋の通った答えがありました。
たとえば、ポテトチップスを食べすぎてしまう理由がわかり、すごく納得。
この本を読んで、意識してタンパク質をとり、普段の食生活が変わりました。
■なぜ太るの?食欲とタンパク質ターゲット
人間の食欲
人間の食欲には以下の5つがあります。
・タンパク質
・炭水化物
・脂肪
・ナトリウム(塩)
・カルシウム
この中でもタンパク質欲が優先されます。人間ほど食欲はわかれていませんが、人間だけではなく、昆虫や他の動物も同じくタンパク質を優先して食べる習性があります。
バッタの研究では、本能でタンパク質がある餌を選り分け、一定のタンパク質パーセンテージになるよう餌を食べ分けることがわかりました。
タンパク質レバレッジ
人間には、一定のタンパク質が取れるまで、タンパク質を食べたい欲求があります。
そのため、タンパク質が食べ物の中に少なくなれば過食になるし、逆に多ければカロリー摂取が少なくなってしまいます。
ジャンクフードを食べて肥満になるのは、一般的にジャンクフードにはタンパク質の割合が少なく、タンパク質欲を満たすために、必要以上にジャンクフードを食べてしまうからです。マックのポテトを必要以上に食べてしまったりするのはタンパク質レバレッジが理由でした。(肉魚以外の食品にもタンパク質は含まれており、たとえばポテトにも量は少ないですがタンパク質は含まれます。)
自分も過去にタンパク質レバレッジの経験があり、強烈に肉を食べたくなった時期がありました。
当時、残業続きで夜までオフィスに缶詰になって働いていたときに、夜お腹が空いて、手軽に食べられるジャンクフードばかり食べていました。オフィスにはファミマのコンビニ自販機が置いてあり、高層ビル勤務だったこともあり、手軽に買える自販機を重宝していました。自販機でカップラーメン、サンドイッチを買っては夜な夜な食べて、仕事を続ける日々。
そうした食生活が続いたとき、無性に肉が食べたくなったのです。
焼き肉が食べたいというだけでなく、コンビニで売っている唐揚げなどを買っては食い漁っていました。唐揚げ食べて、フランクフルト食べて、野菜を取らず、炭水化物と肉ばかりで不健康でした。
今思うとタンパク質が少ない食生活を続けていた反動だったように思います。
コンビニ自販機でサンドイッチの中でも肉の多い、照り焼きサンドイッチとか食べてました。
ただコンビニ自販機は便利ですが、ジャンクフードばかりで栄養の観点からはオススメできません。
■タンパク質を過剰、過小の影響
タンパク質を一定とる必要はわかったのですが、じゃあいっぱい食べらればよいかというと、タンパク質の取り過ぎには悪影響があることがわかりました。
タンパク質を摂りすぎると老化を早めることになるのです。
6.食環境にタンパク質が不足していれば、私たちはタンパク質欲が満たされるまで食べ続ける。他方食事のタンパク質比率が、体が必要とするよりも高ければ、タンパク質欲は早めに──総摂取カロリーが少ないうちに──満たされる。 7.だからといって、タンパク質が多ければ多いほどよいというわけではまったくない。 イースト細胞からハエ、マウス、サルまでの生物は、タンパク質を過剰摂取しないよう進化した。それにはいくつか理由があるが、主な理由は、 タンパク質を摂りすぎると、老化を早め寿命を縮める生物学的プロセスが作動するからである。
またタンパク質ターゲットは年齢に応じて変わり、新生児は低タンパク質でした。高齢になると、筋肉内のアミノ酸の水漏れが発生し、体を維持するためにタンパク質を成年期よりも多く取る必要があるそうです。
新生児は、食事に関して自分で選択できることはほとんどない。母乳で育てられる場合は、炭水化物比率 55%(主に乳糖)、脂肪比率 38%の低タンパク質(約7%)食を与えられる。これは人間が飢饉でもない限りけっして食べない、タンパク質比率が最も低い食事だ。だが 離乳までの乳児にとっては、紛れもなく最適な食事組成 である。 これはすべての霊長類に共通することだが、その理由が興味深い。霊長類は大きな脳をもち、複雑な社会生活を送るから、大人として知る必要があるすべてのことを学ぶために、長い幼少期を必要とする。 低タンパク質の母乳は成長を遅らせることで、これを可能にする の
■結局、何を食べらればいいの?
健康を維持するためには結局何を食べていくのか。
シンプルにはカロリーあたりの栄養価が高い食事をとることとされています。
タンパク質豊富な食べ物を意識するよりも、ジャンクフードをやめ、食物繊維をとれば、自然とタンパク質比率は正常になっていくのです。
「チョコレートバー1本」我慢すればいい ケース2:メアリーは体重増加をくい止めるのにギリギリ間に合った。必要なのは、タンパク質比率 15%の食事に戻し、ジャンクフードの習慣をきっぱり断ち、食物繊維を多めに食べることだけ。そうすれば、あとの仕事はタンパク質欲がやってくれる。 重要な点として、また意外に思われるかもしれないが、 これをするためにタンパク質豊富な食品を食べる必要はない。290 kcal 分の脂肪と炭水化物を減らすだけで、食事のタンパク質比率は 13%から健康的な 15%にまで高まるのだ
炭水化物ダイエットは、カロリーを減らしたことによりダイエットの効果がでていたのです。
ヨーロッパのDIOGENES研究などの大規模臨床試験では、低カロリー食の期間(この研究の場合は1日800 kcal を8週間)中に減った体重をその後も維持するには、 高タンパク質食( 25%)と多量の健康的で消化の遅い炭水化物を組み合わせるのがよい という証拠が示されている。 初心者にありがちな間違いは、高タンパク質食のメリットが、タンパク質そのものから来ていると思い込むことだ。「高タンパク質食で体重が減った。体重が減って健康状態がよくなった。だから、タンパク質は健康によい」という、誤った三段論法がまかり通っている。 だがタンパク質は、糖尿病や心臓病などの肥満の合併症を改善する特効薬ではない。もうおわかりだと思うが、 高タンパク質食は、ただ総摂取カロリーを抑えるだけ だ。それ以外のメリットはすべて、カロリーを減らしたことから
■15の実践方法
本の最後にタンパク質ターゲットを理解して、実践まとめが記載されています。
- 自分のタンパク質ターゲットを理解する
- 超加工食品を避ける
- 高タンパク質食品を食べる
- 食物繊維を食べる
- カロリー信奉をやめる
- 食べ物を混ぜ物にしない
- 空腹の時に食べる
- 塩味が欲しいことの意味を知る
- 食欲を信じる
- 運動時には20グラムから30gのタンパク質をとる
- 食べない時間を1日の中に作る
- 体内時計に合わせて眠る
- 外に出る
- 料理を作ってみる
- 流行に惑わされない
この中で、筋トレしている人は10 運動時の箇所をよく理解しておくとよいでしょう。
タンパク質の過剰摂取は老化につながりますが、悪影響を限定できます。
⑩運動時は「 20〜 30 g」タンパク質を摂る 運動して筋肉量を増やしているときは、1回の食事につき 20 gから 30 gのまとまったタンパク質を摂ると、新しい筋肉タンパク質を形成するための細胞機構が最もよく活性化されることがわかっている。この量が、筋肉合成を起動させるのに最適な量だ。 筋肉合成に関わる機構とは、8章で説明した成長・繁殖経路のことだ。この経路は必然的な副産物として細胞のゴミを放出し、細胞とDNAに損傷を与える。 タンパク質を 20 gから 30 g含む食事を摂ると、タンパク質合成のスイッチが2時間ほど入り、悪影響をその時間に限定することが
■おわりに
食べることについて原則がわかり、巷にあふれる食生活改善や炭水化物ダイエットについて、何が効いて、効果が出ているのか、これまでより解像度が上がって考えられるようになりました。
またこの本を読んでから、ネット記事で紹介されている健康的な食習慣というのが、眉唾の健康方法と思うこともありました。
なんだか食べ過ぎちゃうなと感じている方に正しい知識をつけるオススメの本です!
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