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PMなりたてのころの自分に教えたいプロジェクト意思決定の重要度評価7つ

プロジェクトマネージャー(以下PM)は課題をさばくのが仕事です。

私はPMとして、プロジェクトの中で発生する課題を日々さばいています。

でも PM 初心者からすると、次々に発生する課題は嫌になるものです。

私も PM なりたての頃は課題をさばいていくのに必死で苦労した思い出があります。

想定もしていなかった課題が発生し、途方にくれることが何度もありました。

本記事では、PM初心者が理解しておくと、手助けになるプロジェクトの意思決定の行い方を紹介します。

なおPMに限らず、一般的なマネージャー職でも役立つ内容です。

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アート・オブ・プロジェクトマネジメント


■優れた意思決定の行い方 アート・オブ・プロジェクトマネジメント

プロジェクトでは毎日無数の課題を判断していく必要があります。

課題のさばき型を覚えると、仕事が楽になります。

私は「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」という本を読んで、課題のさばき方、意思決定の行い方を学びました。

プロジェクトマネジメントで折にふれて読み返す神本です。

この本の中で意思決定の重要度を評価する項目として7つ紹介されています。

プロジェクトで発生する課題をこの7つの観点に照らし合わせると、簡単に決めてよい課題なのか、検討が必要で関係者の合意を取る必要がある課題なのか、など意思決定を考える手助けになります。

意思決定の重要度を評価する
1. この意思決定の中心にはどういった問題があるのか?
2. この意思決定がプロジェクトに及ぼす機関はどれぐらい続くことになるのか? また影響の大きさはどの程度になるのか?
3. この意思決定が間違っていた場合、どれだけの影響が出るのか、またどれだけのコストがかかるのか? その結果によって、他のどういった意思決定に影響が波及するのか?
4. この意思決定にどれだけの時間をかけることができるのか?
5. この種の意思決定を以前に行ったことがあるのか?
6. 誰が専門的な視点を持っているのか? これは自分が行うべき意思決定なのか?
7. 誰の承認が必要なのか? 意思決定を行う前に誰のフィードバックが必要となるのか?


1.この意思決定の中心にはどういった問題があるのか?

何より重要なのは、発生した問題の本当の問題はなにかです。

よくよく話を聞いてみると別に問題ではなくて。担当者が気になっているだけだったりなんてことがあります。

またその逆で、話を紐解いていくと根深い課題がありシステムの構成から見なおす必要が出てきたりすることもあります。

解くべき本当の課題が分かっていないと正しい意思決定が行えません。

本で紹介されている事例では、「今までに見つけた50個のバグを全て修正する時間はない」 という問題が発生します。ただ本当の問題は「バグの優先順位付けを行う基準がない」というものかもしれません。

緊急性があるように見える問題に対しても、辛抱強く落ち着いて行動することが必要です。

適切な問いかけをしていくことで問題の中心がみえてきます。たとえば、

・この問題の原因は何か?
・これは独立した問題なのか?それとも他の領域に影響を与える問題なのか?
・これは誰がこの問題によって影響を受けるのか?
・この意思決定は仕様書やビジョンのドキュメントで既に行われたものなのか?もしそうであればそれを今また再考する適切な理由はあるのか?


2.この意思決定がプロジェクトに及ぼす機関はどれぐらい続くことになるのか? また影響の大きさはどの程度になるのか?

採用する技術の決定といった意思決定は、プロジェクト全体に影響を及ぼします。

その一方で打ち合わせの時間や、アジェンダの決定といった小さな決定は、影響を及ぼす範囲もその限定されたものになります。

そのため小さな決定で済むものであれば、どんどん決めていくのがよいです。

逆に影響が長く続く大きな意思決定においては、考察をしっかりして関係者との合意をとって決めていく必要があります。

小さな意思決定でよいのか、大きな意思決定が必要なのか、その見極めができると課題をさばいていくスピードが上がります。


3.この意思決定が間違っていた場合、どれだけの影響が出るのか、またどれだけのコストがかかるのか? その結果によって、他のどういった意思決定に影響が波及するのか?

影響が小さく無視できるぐらいであれば失うものはそう多くありません。とはいうものの気軽にコインを投げて決断してよいというわけではありません。

たとえば、サービスの ユーザー体験(UX)はユーザビリティや信頼性といった、小さな意思決定の絡み合った結果生まれてくるものです。

塵も積もれば山となります。

その場で決めた一貫性のない UI が増えていくと、使いづらいよくわからないサービスとなってしまいます。

意思決定をする際に、関連する影響が出る意思決定は、まとめて決定をしていくことがよいでしょう。


4.この意思決定にどれだけの時間をかけることができるのか?

重要な意思決定とだからといっても、必ずしも時間をかけて構わないというわけではありません。

ときにシステム障害対応で数時間のうちに、重要な判断を下さないといけない場面があります。

逆に1ヶ月後までに決まっていれば問題がない判断もあります。

意思決定にどれぐらい時間をかけられるのかが分かっていれば、システム障害などの緊急性のある場合を除いて、落ち着いて判断できるようになります。

もしくはその短い期限であれば、関係者を巻き込んでスピードを上げて判断していくことがやりやすくなります。


5.この種の意思決定を以前に行ったことがあるのか?

過去に行ったことのない意思決定を行う必要も当然出てきます。

そうした時にリーダーやマネージャー自らが無知を認めることによって、自らの無知を認めても構わないということがメンバー全員に理解されます。

その結果メンバー全員が正直になり、チーム全体における意思決定の品質が劇的に改善されるのです。

逆に過去に行ったことがある意思決定であれば、その時の状況を参考にしてより適切な意思決定につなげられます。


6.誰が専門的な視点を持っているのか? これは自分が行うべき意思決定なのか?

PMはしばしば身近な専門家として扱われます。

PM はマーケティング担当者からみると技術は専門家であり、エンジニアリング担当からみるとビジネスは専門家なのです。

しかし現実の PM は何でも屋、そして何の専門家ではないです。(個人的にはファイナルファンタジーの赤魔道士のようなイメージをPMにもっています。いろいろ素養はあるがエキスパートではない職種)

適宜、専門家を巻き込んで行く必要があります。

また意思決定そのものを彼らに移譲することも積極的に考えていくとよいでしょう。

誰が意思決定をその課題が行うべきかは重要な問題です。

誰が解くべき意思決定なのかを意識しておくことで PM の負担を下げられます。(精神的に気持ちが楽になります)


7.誰の承認が必要なのか? 意思決定を行う前に誰のフィードバックが必要となるのか?

特に大企業で意識しておく必要がある観点です。

一見些細な意思決定であっても、関係部署に対する影響が思いの外、出ることがあります。

またお金がからむ意思決定は、適切な手順、適切な権限による承認が必要になります。

あらかじめ承認プロセスを理解しておくことは、大企業のプロジェクトだと特にスケジュールに大きな影響を及ぼします。


■おわりに

意思決定の仕方が分かって、最後に重要なのは決定する勇気です。

勝利をもたらす選択肢はない意思決定もあります。また優れた意思決定でも悪い結果をもたらすことがあります。

対応案を並べてみたら、どれも取りたくない案ばかりで、それもで決めないといけないときがあります。

そうしたときに、PMには前に進めていく力が必要です。

プロジェクトはしんどいことの連続で、次々と発生する課題から逃げたいと思うようなときもあります。

特にPMになりたてのかたは、つらいと思います。

ただお願いしたことが問題なくタスク完了するなら、PMの仕事はいりません。課題は発生するものです。その課題をさばくのがPMの仕事です。 つらいときに、時間を浪費することがないようまず意思決定の重要度を見極めるようにしてください。

「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」はPMのかた向けに、まっさきにオススメする本です!



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