最新の脳科学で子育ての不思議を解き明かしてくれる本です。
子どもの大変な行動も実は理由があったんです。
たとえば、イヤイヤ期はどうして起こるのか、その原因が理解できると対応方法がわかってきます。
イヤイヤ期
子どものイヤイヤ期は欲求を抑える前頭前野の働きが十分ではないため発生します。未熟な脳がゆっくりと、しかし着実に育っていくタイミングなのです。
イヤイヤ期への対処方法は、「とにかくダメ」と怒って子どもに我慢させようとしても、子どもの脳の抑制機能は発達しないです。
「ダメ」と怒られたとき、子どもの脳で働くのは恐怖や不安をつかさどるへんとう体のため、怒られると子どもは脳の動きとして怖がってしまいます。
そのため、子どもが自ら我慢するようにうながすことが、抑制機能の発達にとっては大切です。
具体的には子どもにわかりやすいルールを決めるのがよいとされています。
たとえば、「口」と「耳」のカードをつくって、お話を聞くときは「耳」のカードをみて、お話を聞くルールを思い出すようにしてみます。
重要なのは「なぜ我慢するのか」という理由を納得することです。
そうして自ら我慢する経験を重ねることで前頭前野の抑制機能が育っていきます。
ルールをつくって、できたら褒めて、この繰り返しで前頭前野を発達させていくのです。
愛情ホルモン オキシトシン
オキシトシンとは脳下垂体という場所から分泌されて、出産時に子宮を収縮させて出産を促したり、産後の授乳時に乳腺を収縮させてお乳を出します。脳にも直接働きかけてわが子やパートナーへの愛情を深める動きがあります。
そのため「愛情ホルモン」とも呼ばれています。
もうひとつ作用があることがわかりました。
愛情を深めるだけではなく、同時に母親の攻撃性も高める作用をあったのです。
たとえ夫でも育児に非協力的だと攻撃の対象になり、夫婦関係の破綻を招くことがあるのです。
この振る舞いは野生の世界で信頼できない相手に子どもを近づけないようにする防衛本能なんです。
オキシトシンが出ている時育児中の母親はほぼストレス状態になってしまいます。
実験で、そのストレス状態の時にリラックスしているタイミングがありました。
夫と妻が向き合って会話をする、ただそれだけで妻のリラックス状態が続いたのです。
具体的な解決法やアドバイスがなくても、話が受け入れられたと感じでリラックスにつながったと考えられます。
※夫は、「うんうん」と聞いていることが大事です。具体的なアドバイスや指摘はむしろ否定と捉えられがちなので注意が必要です。
夜泣き
赤ちゃんはなぜ夜泣きをするのか。
赤ちゃんはママのお腹にいたとき、胎児だったときに実は昼より夜の方が頻繁に起きていたのです。
でもそれには理由があります。
胎児は目覚めている間の活動量が多く、母親の血液から多くの酸素を奪います。
そこで母体に負担をかけないように母親が寝ている夜間に目を覚ます睡眠リズムになっているのです。
ところが厄介なことにこの胎児ならではの睡眠リズムは生まれた後もしばらく変わりません。それが夜泣きの原因です。
またそれ以外にも夜泣きの原因はあります。
動物は生まれた時から脳が発達していて睡眠リズムなども大人と変わりません。
ところが人間の場合、生まれた時の脳の重さは大人の1/3程度です。
未熟な状態で生まれてくるのでまだ脳が発達していないのです。
私の脳は睡眠中も活動しています。
しかし脳幹網様体という部分の働きで信号が体に触らないように遮断され体を休めているんです
ところが赤ちゃんの脳を未熟でこの仕組みが十分働きません。
眠っていても脳からの信号で声をあげたりしてしまうのです。
おわりに
上記以外にも、育児をしていると困る状況について、最新の脳科学から対応方法が説明されています。
イヤイヤ期の時は本当に何をしてもムダで途方に暮れてしまった思い出があります。
親からするとなぜそれに固執するのかわからないと言った時もありました。
子どもの行動には脳科学でわかった理由があり、原因がわかれば対応しやすくなります。子育てに悩んでいるかたへオススメの本です。